オス猫に去勢手術は必要?費用や入院期間は?

オス猫の去勢手術について知っておこう

はじめてオスの仔猫をお迎えする場合、多くの飼い主さんは「去勢ってどうすれば良いの?」「去勢しないとダメなの?」と悩むかもしれません。今日の記事では、オス猫の去勢問題について取り上げてみます。

オス猫に明確な発情期はない?

オス猫は、生後4〜8ヶ月くらいには繁殖可能な体に成長します。実はオスの猫には決まった「発情期」というものはないといわれています。発情しているメス猫が近くにいることによって、オス猫も発情するようです。よく、春先がネコの発情期だといわれますが、実際は1月〜8月くらいがメス猫の発情期なんです。特に春(2〜4月)、夏(6〜8月)がピークとなるので、一年を通して2、3回発情期があることになります。なので、わりといつでも発情しやすいともいえますよね。

オス猫が発情するとどうなる?

個体差はありますが、オス猫の発情には次のような行動が見られます。

  • マーキング
  • 大きな声で鳴く
  • 脱走
  • 性格の変化

マーキング

飼い主を一番悩ませるのがこの「マーキング」かもしれません。オス猫は縄張り意識の強い生き物です。自分のオシッコで縄張りを示すものなのですが、発情期の場合、メス猫に自分の存在をアピールするため、とにかくあちこちに自分の臭いを残そうと、マーキングします。普段とは違い、しゃがまずに壁や柱にスプレーするようにオシッコをかけます。家の中でも平気でマーキングしてしまうので、飼い主さんの苦労は想像に難くありません。

しかも、ネコのオシッコは臭いが強い。去勢をしていないネコは、特に臭いが強烈です。一度どこかにスプレーされてしまうと、どんなに頑張っても臭いは残ってしまうほどです。お気に入りのソファやカーテン、家具などにもお構いなしにマーキングされるので、未去勢のネコを飼っている人は、もはや腹を括るしか道はないと思った方が良いです。

大きな声で鳴く

メス猫は発情期になると大きな声で鳴きます。オス猫もその声に反応して、普段と違った大きな鳴き声を出します。「ニャーニャー」ではなく「ナオーン」という感じの声で、人間の赤ちゃんの泣き声と似ています。家の中でこの声を出されると、かなりうるさいです。

脱走

発情すると、オス猫はメス猫を探しに外に出たがります。メス猫の声が聞こえた場合、スルリと家の外に出てしまうので注意が必要です。発情の有無に限った話ではありませんが、外には危険がいっぱいなので、普段から戸締りはしっかり行うように飼い主さんが気をつけなければなりません。

性格の変化

発情中は、自分のテリトリーを守るため、攻撃的な性格になる子もいます。同居猫や犬と、普段は仲が良いのに、発情期になると急に怒りっぽくなったり、飼い主さんを引っ掻いたり噛んだりといった行為をすることもあります。

このほかにも、ほかのネコに覆い被さるような仕草を見せたり、腰を振るような素振りをすることもあります。

発情を抑えるにはどうすれば良い?

マーキングや鳴き声、脱走などを抑えるには、去勢してしまうのが一番効果的です。「そもそも去勢って何をするの?」という人のために、ウィキペディア先生の力をお借りして説明すると、

去勢(きょせい、英語:castration)とは、人間の男女、または動物の雄雌の生殖に必要な部位を切除し、種として生殖不能な状態とすることをいう。

Wikipedia

ということです。ネコの去勢の場合、睾丸を摘出する手術を行います。我が家の利休くんも去勢済みですが、かつて睾丸があった部位は、袋だけ残っており、触るとフカフカした状態になっています。

「大事な睾丸を取ってしまうなんて!」とか「可愛い我が子にメスを入れるなんて!」と感じる飼い主さんもいるかもしれません。確かに、オシッコや鳴き声による、飼い主のストレスを回避するためだけに、去勢手術をするのであれば、「あまりにも人間の勝手すぎる」と思えてしまいます。ですが、去勢手術の意味はそれだけではありません。

去勢手術をするメリット

去勢手術は、ネコにとってもメリットがあります。

  • マーキングなどの行動が減る
  • 精神的ストレスが減る
  • 性格が穏やかになる
  • 病気のリスクを軽減できる

マーキングなどの行動が減る

去勢すると、発情することがなくなるため、マーキングや大声で鳴くといった行動が減ります。すべてのネコに当てはまるわけではありませんが、ほとんどの子は、発情期中に見られる行動を取らなくなります。

うちの利休くんの場合、マーキングこそしませんが、ときどき大声で鳴くことはあります。ただ、それが発情行動の名残りなのかと聞かれたら、多分「NO」です。なぜなら、利休は生後3ヶ月くらいの段階で、すでに去勢手術をしているので、そもそも発情行動を取ったことがないからです。(ただ、本能的に発情期に似た行動を取っているのかもしれないので、明確に「違う」とは言い切れません)

精神的ストレスが減る

発情しなくなるということは、メス猫を求めるような行為もなくなるということ。去勢することで、「メス猫のところに行きたいのに行けないにゃ!」という精神的なストレスを無くしてあげることができます。人間だって、無理やり禁欲生活を強いられたらストレスですよね?ネコだって同じです。発情期中の欲求を無理に抑えるのは、精神的にストレスです。

性格が穏やかになる

これも個体差はあるようですが、去勢することで、縄張り意識が軽減されるためか、穏やかな性格になる子もいます。高齢になっても、仔猫のときのように甘えん坊な性格のままという子もいるほどです。ちなみに、利休の前に飼っていたネコは、去勢して以降、生涯甘えっ子で、攻撃性皆無の男の子でした。

病気のリスクを軽減できる

精巣があると、将来的に精巣腫瘍などの病気にかかる可能性があります。去勢手術を行うことで、腫瘍化する精巣がなくなるため、病気にかかるリスクがなくなります。

これに関しては、オス猫に限った話ではなく、メス猫やメス犬の避妊手術にもいえる話で、生殖機能を除去することにより、予防できる病気はいろいろあります。

去勢手術のデメリット

もちろん、去勢手術にはデメリットとなる部分もあります。

  • 麻酔のリスク
  • 体質の変化

などが挙げられます。

麻酔のリスク

去勢手術は全身麻酔で行います。人間でも起こりうる話ですが、麻酔による死亡事故もゼロではありません。手術を受けるネコの年齢や持病によっては、大きなリスクとなり得ます。獣医さんに相談し、納得したうえで去勢手術を受けるようにしましょう。

体質の変化

よく、去勢したネコは太るなんていわれますが、本当にその通りです。我が家の利休は初期のドラえもんのような体型をしています。

ですが、これは「去勢したから太る」のではなく、繁殖のために使うべきエネルギーを消費しなくなったことによる、カロリーオーバーが原因といわれています。つまり、去勢をしたとしても、毎日運動をさせてあげるなどのカロリーコントロールができていれば、太ることはありません。

じゃあなんで利休は初期のドラえもんなんだって話をするならば、それは飼い主の怠慢としかいいようがありません。すみません。

絶対中にオッサンが入ってると思う、我が家の利休くん

最近は、自動でネコと遊んでくれるオモチャもあるので、日頃忙しい飼い主さんは購入を検討してみても良いかもしれませんね。

去勢手術について

いざ去勢手術をしようとなった場合の、費用や入院期間はどのくらいなのでしょうか?

去勢手術にかかる費用は?

人間の病院と違い、動物病院は自由診療です。つまり、病院ごとに手術費用が違うということ。平均的にオス猫の去勢手術は約5,000円〜20,000円くらいが相場といわれています。メス猫の避妊手術の場合は、もう少し高く、10,000円〜40,000円くらいかかります。

去勢・避妊手術はペット保険の適用外なので、すべて実費です。ただし、ネコの去勢・避妊手術の場合、自治体からの補助制度が受けられる場合があります。条件などは自治体によって変わりますので、お住まいの地域ごとに確認してみることをおすすめします。

入院するの?それとも日帰り?

「手術」と聞くと、なんだかものすごく時間がかかるような気がしますよね。ですが、猫の手術の場合、執刀時間だけでいえばオス猫は5分、メス猫は10分程度だそうです。めちゃあっという間に終わってしまうんですね。

とはいえ、体にメスを入れていることには変わりないので、オス猫は一泊、メス猫は二泊ほど入院する病院もあります。特に問題がないと診断されれば、オス猫の場合日帰りできる病院もあります。

ただ、術後はさすがに安静にしていなければならないので、他のネコや犬が一緒に暮らしているご家庭なら、念のため入院させてもらったほうが良いかもしれないです。

手術を受ける・受けないは慎重に判断

手術を受けるか受けないかは、飼い主さんが決めるしかありません。去勢手術を受けるメリットは色々ありますが、デメリットもゼロではありません。「周りが勧めるから」とか「去勢手術は一般的だから」とかそういった気持ちで手術を決断するのは危険です。ネコにしてみればたまったもんじゃありません。

ネコの健康状態や年齢などもしっかり考慮し、獣医さんのアドバイスを受けたうえで、適切な判断をしてあげることがネコにとって一番大切です。

また、動物病院選びも大事なポイントになります。手術の相談をしたときに、どこまで親身になってくれるか、説明をきちんとしてくれるかなども、チェックすることをおすすめします。信頼できる獣医さんじゃなきゃ、手術をまかせることなんてできませんからね。(動物病院はセカンドオピニオンを用意しておくと良いですよ)

すべては飼い主の責任にゃ。